股関節周囲筋の促通
THA術後などでは股関節周囲筋の筋活動が得られにくいことが多々見られるだろう。
まず、基本的知識として、股関節周囲筋、特に大殿筋や中殿筋は遠心性収縮で機能する。
遠心性収縮では基本的にtypeⅡ線維が主として機能する。
つまり、typeⅠ線維である遅筋線維ばかりトレーニングしていてもなかなか効果が得られない。
よって、遠心性収縮の訓練を実施する必要がある。
その際の方法をいくつか紹介する。
・kneering
いわゆる膝立ち位である。
これは足部や膝関節周囲筋の影響を取り除き、股関節に直接負荷をかけることができる方法である。足部での代償が強い方にはよく使用される。
片膝立位でも、十分に行うことができるので膝立位に恐怖感のある方などは、術側を椅子の上に膝を立てて健側は立位姿勢をとることもできる。
その場で足踏みするように行ってもらうと歩行時よりも大きな体幹動揺がみられることがある。
これは、歩行時に足部や膝周囲筋などで代償していたことが疑われる。
・半円のストレッチポール上での荷重訓練
半円のストレッチポール上で踵接地から片脚立位までの訓練を行うことで、平地より殿筋の収縮を得られやすいとの報告もある。
・徒手的な刺激
これはPNFの手技の1つだとか。
これも荷重移動や立脚訓練を行う際に、手指などで中殿筋や大殿筋を握るように徒手刺激を加える。
疼痛の強い筋やその周囲に指圧を加えると防御性収縮がみられるがそれに近い。
下肢の共同伸展運動が困難な方に大腿四頭筋や大殿筋、ヒラメ筋などに同時に刺激を加えたりすることがある。
・IC時に踵接地を意識させる。
歩行におけるIC時に意識的に踵接地を行わせることで、中殿筋の活動量が増大するという報告がある。
また、この際にtypeⅡ線維の筋活動が主に高まったことが示されている。
参考文献
加藤浩:術後股関節疾患患者に対する踵接地を意識させた歩行訓練が股関節外転筋活動に及ぼす影響
THA術後ではCKCにての訓練が推奨されている。
OKC訓練群とCKC訓練群で分けて治療を行うと跛行消失時期が
OKCでは平均14.5週を要したのに対して、CKC訓練群では6.8週であった報告がある。
青木利彦:ぜん人工股関節置換術患者におけるCKC訓練効果